from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

北朝鮮問題(2)

田中宇北朝鮮問題の解決が近い」から。

金融制裁については、ベルリン協議とは別に、1月22日からの週に、ニューヨークにおいて、アメリカ財務省北朝鮮の代表が会い、交渉することになっている。この交渉の落としどころはすでに見えている。米財務省は、バンコ・デルタが提出した北朝鮮の預金口座の出入金記録などを調べており、2400万ドルのうち、何割かは不正とは関係ないことが確定しつつある。米側は、不正ではないと分かった資金から順番に口座凍結を解除していくことを表明し、北朝鮮側はそれを受け入れることで、米朝双方の面子が立つ解決ができる。
・・・・
1月9日の山崎拓の訪朝自体、米朝関係が好転しそうだという情報を受けて挙行された可能性がある。山拓の訪朝は、小泉前首相の訪朝の前座として行われている。首相時代に2回も訪朝した小泉は「拉致問題を解決して日朝国交を正常化した人」として、歴史に名を残したいと考えている。拉致問題が解決される前に、先に核問題が解決して米朝関係が好転してしまうと、アメリカに追随する日本も、日朝関係を好転せざるを得ない。05年9月の6カ国協議で発表した北京宣言にも、核問題が解決したら、米朝関係と同時に日朝関係を好転させることが明記されている。
しかし、この流れだと、小泉が訪朝して拉致問題を解決したら日朝関係が好転した、という話にすることができず、小泉は歴史に名を残せない。小泉が訪朝するなら、米朝が核問題を解決する前にやらねばならない。小泉はアメリカの要人たちと親しい。アメリカが北朝鮮との関係を好転させるつもりなら、事前に小泉にその情報が入る可能性は大きい。小泉・山拓側は、アーミテージ元国務副長官と接触していたという話も、自民党筋から出ている。情報をキャッチした小泉は、次の6カ国協議より前に訪朝せねばならないと考え、まず急いで代理人である山拓を訪朝させたのだろう。
小泉と山拓は、北朝鮮に住んでいる日本人を全員いったん日本に帰国させることを柱として拉致問題の解決案を作り、訪朝した山拓が、それを北朝鮮側に提案した。しかし、北朝鮮は、すでにアメリカと関係改善できそうだと感じていた。アメリカとの関係を改善すれば、北朝鮮は日本に対して以前よりはるかに優位に立てる。北が「拉致問題はもう解決ずみだ」と突っぱねても、米朝関係好転後のアジアで孤立したくない日本は、北との関係を改善せざるを得なくなる。
だから、訪朝したいと申し入れた山拓に対して北側は「3月に来てくれ」と返答し、それでも山拓が「いや、早く行きたいんだ」と言うので、一応平壌に来てもらったが、そこでも北側は山拓の提案を断り「3月にもう一度来てくれ」と言って帰らせた。小泉の、歴史に名を残す作戦は失敗した。