from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

「美しい国へ」の批判と共振

東京新聞「時代を読む ヨーロッパの安部氏への懸念」(ロナルド・ドーア)から。

平壌での合意を破棄して、国民の単純な怒りを表明して相手を敵に回すのが主導権を握ることだ。それが「「闘う政治家」でありたい」安部氏の「外交」の基本的理解だろか。
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安部氏の「腕力」は結局米国の腕力である。
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米中関係が冷戦的色彩を帯びてきた時、どうなる。安部氏の「戦略対話」が、ますます日米の軍事的統合を推進していけば、答えは明らかだ。米国は同盟国、中国は敵。
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同じ戦争責任問題を抱えるドイツでは、有力週刊誌シュピーゲルが安部氏の東京裁判に関する態度は、ホロコーストを否定したイランのアハマディネジャド大統領に似ていると評している。ヨーロッパの世論調査なら、現在の日本の結果「安部氏支持66%、谷垣支持17%」とは逆になろう。

東京新聞「ブログと安部氏の共振 「右翼的」若者に伝統回帰」(斉藤学)から。

今の若者には「自分は恵まれていない」という被差別感が充満しているようです。世間的にエリートになれる人は少ないから。そのくせ他人を見下ろし、根拠のない万能感を持つ。能力の裏付けがないのに自分は偉いと思っているから、すごく傷つきやすいんですね。
で、引きこもっちゃう人もいるけど、今は自分の考えをブログとかで流せるでしょ。それに世間の反応があるから世論形成できる。自己愛にこりかたまった意見にも賛同する声が帰ってきて自己愛に「根拠」が生まれるんです。
こうした若者が「共通の敵」を見いだすと、強固な連鎖ができる。これが怖い。若者の怒りは市民リベラリズム自由主義を当然とする市民感覚)に向けられている。
この時期に、戦争遂行のリーダーだった岸信介元首相の孫安部晋三さん(官房長官)が宰相になるのも、市民リベラリズムへの批判が後押ししている面がある。戦争を知らない若者たちが、ブログで右翼的な意見を発信しており、アジア・太平洋戦争をめぐる歴史観でも、「なんで(アジアの戦争被害に対して)謝るの?」」という意見が横行している。今の若者に対する不満が、安部さんを偶像にし巨大化する。これまで仲間内でしか通用しなかった右翼的論理が、安部さんを通して世論に訴える力を持ち始めたのです。