from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

落とし所なし

JMM『「危機の本質」from 911/USAレポート』

国連が様々な形での援助活動をしているように、国際社会には北朝鮮の飢餓に対する一定程度の同情があります。例えば、5日朝のNBCテレビの『トゥディ』では、米軍の偵察衛星が夜間に撮影した映像を公開していましたが、朝鮮半島の南半分は明るく輝いているのですが、北半分は真っ暗なのです。正に胸の潰れるような映像なのですが、こうした画像、あるいは飢餓にあえぐ北朝鮮の子供たちの映像には、一般市民への同情の視線は明らかです。
この点で、拉致事件への憤りから、支配層に対して怒るだけでなく、一般市民を含めた「北朝鮮の存在そのもの」に敵意を感じてしまう日本の一部世論も、国際社会の標準とはかけ離れたものと言えるでしょう。
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韓国社会ではタテマエはともかく、実際には自分たちの社会を一時的に混乱させてまで吸収合併をやり切る覚悟はまだ十分ではありません。巷間言われている、中国が人道的な治安維持を理由に北朝鮮を実質併合するという説も現実的ではありません。中国には自分の勢力圏内にここまで著しい社会格差を抱えるリスクは簡単には取れないはずですし、北朝鮮エリアの社会インフラを全部負担する余裕もないでしょう。
ということで「落とし所」はないのです。今回の、いや北朝鮮が冷戦終了から取り残された90年代からずっと続いている危機の本質は、この「落とし所のなさ」にあります。ない以上は、関係国がしっかり協調して、やがて起こる偶発的事態(例えば、プラハの西ドイツ大使館に多くの東ドイツ国民が駆け込んだ1989年8月のような事態など)に備えることが必要です。今、日本は十分な自覚のないまま、対北朝鮮の舌戦の最前列に出てしまっていますが、これは得策ではありません。早く、横一列に戻るべきであると思います。