from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

ブレない政治家は人気者

溜池通信』のReport「日米の当世政治比較論」から。

「ブッシュ=小泉型」は、強い信念をもって政策を提示し、先手を取って物事を進めてくる。反対勢力は議論の中身では勝っていても、メッセージの明瞭さと簡潔さで劣る。たとえば「改革を止めるな。」というメッセージと、「もっと大事なことがある」というメッセージを比べれば、断然、前者の方が説明は簡単であるし、有権者へのインパクトも強い。くれぐれも「大事なのは中身だ」などと思ってはならない。
次に、与野党の非難の応酬になってくると、首尾一貫性のある「ブッシュ=小泉型」が有利になる。ブレない政治家の強みは、相手の矛盾点を1つでも見つければ自分の勝ち、と見なせることだ。そして矛盾のない政治家は、あまりいないものなのである。
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日本ではいつ頃からか、「ブレない」という言葉が流行語のようになっている。特に保守派の論壇の中にあっては、「あの人はブレない」は強力な誉め言葉である。小泉首相や安倍幹事長代理は、典型的な「ブレない」政治家であり、国民的人気も高い。
従来の自民党政治でいえば、「ブレない」(意見が変わらない)ことはかならずしもプラスイメージではなかった。ところが、政界という筋の通らない世界において、「郵政民営化」や「拉致問題の解決」といった信念を貫いている政治家は、それだけで貴重な存在に見える。
ある意味、国民の政治不信の深さが「ブレない」ことの価値を高めているのかもしれない。
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当たり前のことではあるが、「ブレない」「クラリティの高い」政治を行うためには、適度な現実主義と穏健な姿勢によるサポートが欠かせない。ライス国務長官が、ブッシュ外交を現実路線にしているのが好例である。
小泉政権においても、現実との折り合いをつける脇役が重要になってくる。それが誰になるのかも、来たる総選挙の注目点のひとつといえるだろう。

「ブレない」政治家は、かつてドイツにもいた。