from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

天安門事件から20年

CNN「天安門事件から20年 政治への無関心を装う若者たち」から。

中国の民主化を要求する大学生らが武力で鎮圧された天安門事件から、4日で20年を迎えた。「ポスト80年代」「天安門プラス20年」世代と呼ばれ、インターネットやポップカルチャーに慣れ親しんでいる現在の若者たちは一見政治に無関心で、海外を拠点とする活動家らを嘆かせている。しかしこうした一般的な見方に欠けているのは、今日の無関心が事実か表面的なものかという点だ。
21歳の女子大生は匿名を条件に、「政治には関わりたくないし、関われない。うちのおじいさんからは『政治は汚いからできるだけ遠ざかるように』と言われている」と語った。確かにこの世代が今日個人の成功に専念すれば豊かさを享受することができるし、万が一の場合に失うものが先人達より多い。
天安門事件当時、中国は世界から孤立し、物価高騰の最中にあった。現在の中国は高度経済成長の追い風を受けて安定した道を歩んでおり、インドと並んで大勢の留学生を米国に送り出している。27歳の飲食店経営者は「安全と豊かさは当局によって管理されている。一般庶民ができることは一生懸命に働いてお金を稼ぐこと」と語った。先の女子大生も自己防衛が最優先だと述べ、報われることをするべきだとの考えを明らかにした。
天安門事件は学校の教科書に載っておらず、掲載されても「反革命的」事件と決め付けられる。中国外務省は先週の記者会見で、「80年代終盤の政治的事件」だと述べるにとどまり、事件を極力無視する政府の姿勢が浮き彫りになった。

JMMふるまいよしこ:2009年、6月4日」から。

20周年を前に、世界は激しいシュプレヒコールを彼らが挙げるのを期待しているのかもしれない。「クラックダウン」(崩壊)という言葉が示すような、激動の転換を見たいと思っているのかもしれない。ただ、それはありえない。彼らは20年を経て社会経験を積み、賢くなった。また、豊かになった。さらに政府の思考方法を知り、その手の内を理解した。もう昔のように街頭に出てこぶしを振り上げ、シュプレヒコールを挙げることはしない。危険だからだ。
ただ、彼らの心の中にはまだまだあの時代の苦い思い出がくすぶっている。それは消えることはない.「天安門世代」は中国という国の崩壊は今の彼らの生活を根底から消し去ってしまうことを知っている。それは現実的な方法ではない。そんな彼らが取るのは、静かに、じわじわと、政府を変えていく方法……こりゃあ、「和平演変」じゃないか。トウ小平がかつて「海外や反体制勢力が表面的には穏やかに、しかし中国の社会主義体制の崩壊を企てている」と警告を促した、あの「和平演変」だ。
天安門事件の記憶は奥深く、静かなところでくすぶっている。天安門を燃やした情熱の炎は当時を生き、そして今も生き続けている人たちの心の中でまだ燃え続けている。それは我われ外の人間には容易に目にすることは出来ないが、「風化」などという言葉を安易に使う海外マスコミはもっともっと深く見つめてみるべきだろう。