from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

担がれ上手な社長

BPnet『日米の報道姿勢から読み解く「トヨタ問題」の本質』から。

トヨタは良くも悪くも世界に例をみない官僚集団である。トップが右向け右といえば、全員が右を向く。不平不満が表ざたになることもない。それがトヨタの強みだ。巨大なエネルギーを一点に凝縮しながら前進していく圧倒的なトヨタの迫力。それは官僚集団ならではの集中力である。
だがトヨタほどフレキシビリティのない会社もない。課長、部長はもちろん役員になっても、自分の一存で意思決定ができない。すべて上司にお伺いをたてていく。過去に何百社もの企業取材をやってきたが、これほど取材交渉のやりくい会社はない。
はっきりいって大臣への取材申し込みのほうがどれだけシンプルかわからない。日本で豊田章男社長に単独インタビューするのは、天皇陛下への単独取材を申し込むのと同じくらい実現可能性が低い。
だが米国議会の公聴会出席のための訪米では、事情がまるで違っていた。
公聴会出席直後から、豊田章男社長は有名な“ラリー・キング・ライブ”をはじめ、米国のテレビ番組に次々と出演をしていった。日本国内とは随分と違うものだと正直、言葉を失った。 「出演した方が得だ」という経営判断を誰かがしたのだろう。
そして“担がれ上手”の章男社長もそれに従ったということか。確認のしようもないが、私にはそうとしか考えられない。
章男社長は公聴会で「性急な拡大スピードに問題があった」とリコール多発の原因を語ったが、なぜそれほどトヨタは拡大を急いだのかという疑問には一切ふれていない。