from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

テロ特措法

首相官邸テロ対策特措法Q&A」から。

これまでの活動により、どのような成果が上がったのですか。
国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組は、テロの脅威を大きく抑制しており、特にアフガニスタンにおいては、このような国際社会の取組を背景として、確実に復興段階に移行しつつあると評価されています。

swissinfo「アフガニスタン、国の半分以上が戦火に覆われる」(2007/09/14)から。

アフガニスタンの首都カブールに駐在する赤十字国際委員会 ( ICRC, 本部ジュネーブ ) の派遣団団長、レト・シュトッカー氏は9月13日カブールから一時帰国し、ジュネーブで記者会見した。
シュトッカー氏によると、戦火は激化すると同時に広がり、国の半分以上に及ぶという。
シュトッカー氏によると、 紛争地域は2004〜2005年までは南部に限定されていたが、2007年に入って南西部と東部に、さらに最近、北部にも及び首都カブール近くまで広がってきているという。「NGO国連などの緊急人道支援が入り込めない地域 (ノーゴーエリア) も増えている」とシュトッカー氏はアフガニスタンの紛争の状況を語った。


BPnet「花岡信昭:安倍辞任でどう変わる、海自派遣問題」から。

テロ特措法の正式な名称は「平成13年9月11日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法」というやたらに長いものである。
小沢氏は、「9.11」直後の国連決議1368は武力行使の容認にまで踏み込んでいないことなどを理由に、派遣打ち切りを主張している。だが、もともと、この法律は国連決議だけを根拠としているのではなく、「諸外国の活動に対する我が国の措置(後方支援)」「国連決議等に基づく人道的措置」を規定したものだ。
つまりは、「9.11」が引き起こした国際的な対テロ包囲網に対して、日本が行うべき対応を盛り込んだものであって、その意味では「対米追随」とか「国連のお墨付きを得ていない」といった批判は当たらない。あくまでも日本がインド洋でプレゼンスを示すことが、シーレーン確保などの観点も含め、国益に合致するという判断がそこにある。

岩手日報テロ特措法 国民が納得する説明を」から。

安倍首相はシドニーで開かれた日米首脳会談で、ブッシュ米大統領に給油活動継続に努力する考えを伝え、これを「国際公約」と強調した。
首相としてはまず「外堀」を埋め、退路を断って国会に臨む姿勢を強調したのだろうが、対外公約は国民の支持を取り付けて初めて実体を持つものではないのか。国会の論戦を通じて、民意を変化させることができるか注目したい。
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米中枢同時テロから11日で丸6年。テロ特措法はこれを受けて、米国などの軍事行動を自衛隊が後方支援するため、翌10月に2年間の時限立法で成立、延長を重ねてきた。
海自は、2002年12月の活動開始から今年8月までに、11カ国の艦艇に計774回、約48万キロリットル(約220億円相当)の燃料を提供した。
国民にとってはこの活動がどれほどの貢献になっているのか見えないことがもどかしい。それらは軍事機密という壁の中に覆い隠され、国民が判断しようもない。

AERA「テロ特措法」国会米国追随主義者はオウム真理教に似ている

米国は洋上給油の継続を求め、日本でも「やめると日米同盟が崩れる」「民主党政権担当能力に疑問符が付く」との説が与党だけでなく、民主党や一部新聞の社説でも出る。「米国の意向に従わないと大変」という追随主義者の口癖は「お布施をしないと地獄に落ちる」とのオウム真理教のお告げに似ている。
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この問題を考えるに当たっては、
(1)米国では政府の対外政策が議会の反対で覆ることはよくある。議院内閣制の日本では議会と政府の対立は稀だが、今回アメリカなみになった。米議会は4月に上下両院がイラク撤退期限付きの戦費法案を可決、大統領は拒否権を発動したが、7月にまた下院で来年4月までの撤退を求める法案が可決される状態で、米政府は他国議会に文句を言える立場にない。
(2)米政府はイラクからの他国軍の撤退を非難したことはない。騒げば「米国は孤立化している」との国内の批判を裏付けるからだ。
(3)海上哨戒は本来テロ集団のアフガニスタンからの逃亡を阻止、テロ拡散を防ぐためだったが、イラク戦争の結果テロ活動は拡大し、封じ込めは失敗した。
(4)アフガニスタンタリバンが勢力を拡大し、パキスタンムシャラフ政権が揺らいでいる大勢は洋上給油を続けても変わらない。
(5)米は給油艦20隻以上を持ち他国艦にも給油可能で日本が無料で給油してくれれば嬉しいというにすぎない。
(6)米国は「日本は石油の90%を中東に依存し安定は不可欠」と言うが、イラン・イラク戦争中は同じ論理でフセイン支援を求めた。米国の経済制裁、軍事行動は全産油国が望む石油輸出を阻害し、そのイスラエル支持は中東不安定化の一大要因だ。東南アジアは米軍のベトナム撤退後、急速に経済発展した、などの要素を計算に入れるべきだ。
イラクアラビア海自衛隊を出して米国の機嫌を取ったつもりでも、米国は国連安保理改革に反対し、北朝鮮がすでに持つ核は事実上不問にして国交樹立をめざす。韓国はイラクに3300人、アフガニスタンに200人の部隊を出したが、米国は戦時指揮権を韓国に渡した。米軍は他国の指揮下に入らないから、朝鮮半島では戦わない姿勢だ。「感謝は国際政治では無意味な単語」という格言通りだ。
米軍にとり、横須賀、佐世保などの基地使用権、日本からの年間2200億円の補助金の価値は絶大だ。洋上給油は危険も少なく、費用も年間30億円程だから続けても害は少ない一方、やめても同盟に響く程のことでもあるまい。


教育出版「テロ特措法の持つ意味」から。

今回の決議1368は国連憲章に基づく自衛権を確認したものに過ぎず,具体的な軍事的措置をとることを求めていない。ブッシュが「テロ」と「戦争」を便宜的に同一視し,唯一の超大国アメリカのユニラテラリズム(自国中心主義)を国内に鼓舞する一方,日本はその軍事行動を,「国際社会への寄与」と称して「支持」する政策を具体化させたのである。
テロ特措法による自衛隊派遣の問題点は大きく2つある。第1に憲法上の問題点(集団的自衛権の行使の問題,武力の行使・威嚇の問題)。第2に,政府解釈に基づいた場合の,周辺事態法等以前の法律と比べての今回のテロ対策特別措置法の問題点。例えば地理的活動領域が無限定であるという問題,武器使用の問題(使用基準の大幅な緩和と「自己の管理下」の規定,上官による命令に基づく組織的な使用,携行する武器の制限なし),事後承認(議会によるシビリアンコントロール)の問題などである。兵站活動そのものが武力行使の一翼を担うものであることとあわせて,自衛艦が行う米軍への補給活動は集団的自衛権の行使に当たるのか否か,またそもそも事実上戦争状態にある海外に自衛隊を派遣することが憲法違反ではないのか,などの諸点が再度問われねばならない。