from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

年金問題

JMM年金問題の現状を考える糸口」から。

先ず、現在の基礎年金部分(俗に言う「一階部分」)は全額の財源を税金として(何れの税金を増税しても、その分年金保険料を徴収しなくなるのでマクロ的には増税にはなりません)(1)長生きリスクへの保険と(4)富の再分配に使えばいいでしょう。生活保護(やむを得ざる貧困リスクへの保険)と統一的に運営すると、現在起こっているような、国民年金生活保護が不整合になるようなケースも起こらないように調整できます。税金を財源として基礎年金を運営すると、国民年金の未納問題はなくなりますし、徴収コスト(社会保険庁職員の給料など)も大きく改善されるはずです。
現在、厚生年金や共済年金になっている「二階部分」に関しては、個人勘定で完全に資産を積立てる方式に移行するといいでしょう。現在の債務を個人単位で国が認識してこの債務に対して付利すると、非市場性の国債を発行したのと同じ事です。こうしなくても、現在只今、国が年金債務を踏み倒すことを考えているのでなければ、同じ事なので、財政赤字は見かけ上膨らみますが(たぶん800兆円くらい)、それで、何かが変わるわけではありません。曖昧だったものが明確に認識されるだけです。所得に応じた保険料を徴収して個人勘定に積み立てるといいでしょう。
さらに、公務員の共済の職域加算及び民間の企業年金(恵まれた企業の場合)の加算部分、あるいは、確定拠出年金で行われている「三階部分」については、確定拠出年金型の、個人が運用指図ができる個人勘定で運営することが一案でしょう。公務員の三階部分については、既裁定部分を切り離して運営することが決まっていますが、新三階部分については、職域加算をいったん廃止して、新たに制度を作ることになっています。この制度の内容はこれから決定されますが、これを確定拠出年金とすると、民間と公務員の年金の条件の統一を図る「年金一元化」の趣旨を明確に実現できますし、公務員と民間の間で転職が行われた場合でも、年金をそのまま持ち運びできる(「ポータビリティー」と呼ばれる性質です)ので、好都合です。
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こうしたスッキリした状態に移行することは、何ら難しくはありませんが、現実には、既存の各組織や既得権を持った人が抵抗するでしょう。その場合、理想的な制度との差(たとえば厚生労働省の役人が関わり、天下り先も確保するなどの、無駄が起こる、というようなこと)がはっきりするでしょうから、これを正していくことが、年金制度改善の道になるでしょう。