from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

再封建化

武田徹オンライン日記「再封建化に寄り添うもの」から。

近代化の過程で公的サービスが民間企業なり民間の施設・団体に委譲されて行くプロセスが現れることをハバーマスは「再封建化」と呼んだ。なぜならそこで市民的公共性として成立した公的な領域が私的な領域に溶け出して、両者の区別が曖昧になってゆき、封建時代の国家と社会の未分化の状態に戻るかのように一見して思えるからだ。こうした再封建化は近代社会のどこもが通る道で、小泉改革は露骨に端的だが、その一例に過ぎない。
こうして再政治化された社会圏が成立すると逆に公共圏は脱政治化する。これがジャーナリズムを公論の担い手としての立場から解放する。そしてジャーナリズムは娯楽のメディアになってゆき、市民的公共性がありえたときには「インターナショナリズム」にむけて開かれようとしていたナショナリズムが再び閉じ、大衆社会がナショナリスティックな熱狂に向かう動きにぴったりと身を添えることで大衆に慰安を与えるだけの存在になってゆく。こうしたハバーマスの読みは、残酷なまでに正確だ。

これから弱肉強食の封建社会に向かおうとしているかあ〜。辛いナショナリズム時代の到来だ。大量の犠牲者を目の当たりにする辛さに耐えきれなくなってはじめて共生へと向かうのかも。