from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

作家の保坂和志さんの公式HPでエッセイを読んでいたら、

久米弘がまだ司会をしていた頃の「ニュースステーション」に妹尾河童が出演したことがあって、久米弘が「妹尾さんはプロ野球はどこのファンですか?」と訊いたときに、妹尾河童が「野球は興味ありません。人がやるのを見ていて、何が面白いんですか」というようなことを言ったことがあった。それを見ていて私は「かわいそうなやつだ」と思い、私の友人は「やっぱりこいつはニセ物だ」と思ったのだけれど、私は横浜球場でベイスターズに熱狂している最中の自分が「ファシストでない」という証明ができなかった。
私は自分のことをファシストとはほど遠い人間だと思っているけれど、欧州や南米のサッカー場で発煙筒をたいたり爆竹を鳴らしたりしている観客を見ると、「ファシストじゃないか」とやっぱり思ってしまうわけで、横浜球場のスタンドでラッパと太鼓に合わせて応援している自分は端から見たらやっぱりほとんどファシストだ。
 そういう心性を持たない妹尾河童が当時から軍国主義と無縁だったのは、だからやっぱり本当かもしれないと思った。と、いうことだけれど、スポーツに熱狂しない人のことを私はそれでも「かわいそう」だと思う。

とあった。これを読んで、世の中には、群れたがる人と、そうでない人がいる。また、リーダーになりたがる人と、そうでない人がいると思った。実際には「ポリティカルコンパス」のように2つのカテゴリーで分類しても色々なレベルの人が存在するんだろうけど、レベルに差がある人の間では、まったく言っていいほど話が合わないのでないかと思う。
保坂和志さんの小説はまったく読んではいなし、どういう人かもよく知らないけれど、この人は群れたがる人でリーダーになりたがる人なんじゃないかと思う。お仲間の糸井重里さんも同類だと思う。妹尾河童はまったく逆の人のように思う。作家でいえば、村上春樹さんも逆の人のようだ。だから、保坂さんが妹尾さんに対して「かわいそう」だという気持ちは分かるけど、妹尾さんにとってみれば大きなお世話でしょ。
私は群れたがらないけど、お仲間でわいわいやっているをみると時々羨ましくなるし、リーダーにはなりたいと思わないけど慕われている人をみて時々気分いいだろうなあと思うタイプ。実に中途半端だ。