from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

先日亡くなった吉本隆明氏「『反原発』で猿になる!」〜

恐怖心を100%取り除きたいと言うのなら、原発を完全に放棄する以外に方法はありません。それはどんな人でも分かっている。しかし、止めてしまったらどうなるのか。恐怖感は消えるでしょうが、文明を発展させてきた長年の努力は水泡に帰してしまう。人類が培ってきた核開発の技術もすべて意味がなくなってしまう。それは人間が猿から別れて発達し、今日まで行ってきた営みを否定することと同じなんです。
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原発を改良するとか防御策を完璧にするというのは技術の問題ですが、人間の恐怖心がそれを阻んでいるからです。反対に、経済的な利益から原発を推進したいという考えにも私は与しない。原発の存否を決めるのは「恐怖心」や「利益」より、技術論と文明論にかかっていると考えるからです。

吉本隆明氏は『知識の習得など個人的な努力や工夫で貧しさを抜け出すことを肯定する「自立」の考え』で、左翼批判をしていたと言われている。左翼思想を実現しようしていく組織を作り上げていく過程で、「自立」が削がれていった。これと同じようなことが原子力ムラという組織でも起こった。次第に「利益」を求めて「相互依存」する組織になっていった。「利益を追求するだけの相互依存」組織では、文明の発展は望めない。なぜ吉本隆明氏がそこに注目しなかったか、不思議でならない。