from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

大きな勘違い

nikkei BPnet「田中秀征:日銀総裁人事、福田首相は大きな勘違いをしていないか

問題なのは、あくまでも財務省OBが“組織代表”だというところにある。財務省OBは、財務省にとって死活的に重要な「低金利の維持」に努めるだろう。日常の業務や政策決定会合においては無論のこと、審議委員の人選にも巧みに影響力を行使しようとするだろう。たとえそうしないとしても、そう疑われるだけでも、内外からの日銀の信任は目減りがする。
周知のように財務省は、大きく財政(主計)部門と国際金融部門からなる。事務次官が国際金融部門から出た例を私は知らない。そのためもあって、国際金融部門のトップとして「財務官」が設けられた。
しかし、財務官を含めて、国際金融部門の人事の実権は事務次官、すなわち財政部門が握っている。これによって、財務省内の力関係は、財政が金融を圧倒しているのである。大方の見方とは異なるかもしれないが、もしも財務官経験者が日銀の正副総裁になれば、おそらく“財政の意向”がより円滑に反映されるだろう。逆に事務次官経験者なら、財政の意向を反映しにくいかもしれない。あまりに直接的であり、したがって言動のすべてを財政側の利益代表と見られる恐れがあるからだ。
ただ、財務省にとって、日銀総裁という天下り先の頂点が財務官経験者ということになれば、省内の既存の秩序に乱れが生じてくる。「事務次官より財務官」という流れにもなりかねないからだ。
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日銀もここで大きく変わらなければならない。右肩上がりが約束されていた時代には、公家集団として、武士団(大蔵省)との巧みな連携も許された。しかし、その連携が、バブルの発生から崩壊、その後の再建過程で多くの政策的失敗を重ねてきた。そのことが、新しい「財政と金融の関係」を要請しているのである。