from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

新潟県中越地震と原発

東京電力原子力情報>おたずねに答えてQ&A>」から。

Question
地震が起きても発電所は大丈夫ですか?
Answer
我が国は世界でも有数の地震国ですが、原子力発電所については次のような地震に係わる対策を実施しています。
原子力発電所の地点選定にあたっては、活断層の存在などを詳細に調査し、活動可能性のある活断層を立地地点として回避しています。
さらに、調査した敷地周辺の活断層、過去に起こった地震等を考慮して、直下型地震を含めて原子力発電所の敷地に最大の地震動を与えると考えられる地震を想定した上で、これに耐えられるような耐震設計を実施しています。
これらに加え、
(1) 全ての重要な建物、構築物を強固な岩盤に直接固定
(2) 建築基準法の3倍の耐震性の確保
(3) 地震時の揺れ方の大型コンピュータによる高精度解析に基づく、十分な裕度を持った安全性の確認
(4) 発電所に設置した地震検知器が震度5以上の揺れを感知した場合に、原子炉を安全に自動停止させる仕組み
等の設計・運転上の対策を実施しています。
なお近隣で地震が発生した際には、発電所の運転状況について発電所ホームページで、皆さまにお知らせしています。

BPnet「細野透:柏崎原発の被災を許した大ポカ答弁書」から。

2004年10月23日、新潟県中越地震が発生した。震源新潟県のほぼ中央に位置する小千谷市で、マグニチュードは6.8。67人の死者と4800人の負傷者を出した。
柏崎原発に被害はなかったが、新潟県選出の近藤正道参議院議員が11月18日に、「原子力発電所に関する質問主意書」を提出した。ポイントは2点だ。
耐震設計審査指針では直下地震の規模をマグニチュード6.5と想定している。これは過小評価につながらないか
耐震設計審査指針の定める地震の速度・加速度の算定式を改めなくてよいのか
当時の小泉純一郎総理大臣は同年11月26日、扇千景参議院議長に次のような答弁書(内閣参質161第7号)を提出した。
「敷地の直下または近傍に、マグニチュード6.5を超え、敷地に大きな影響を及ぼす可能性がある地震震源となり得るような活断層がないことを確認している。マグニチュード6.5という直下地震の規模を見直すことが必要となるとは考えていない」
「耐震設計審査指針では、地震の速度・加速度の算定式を定めているわけではないので、お尋ねの点にお答えすることは困難である」
・・・・
その答弁書から2年8カ月後の2007年7月16日、新潟県中越沖地震が発生した。地震震源は、気象庁の発表によると、新潟市の南西約60キロ、深さ17キロだった。マグニチュードは6.8だ。
今回の地震震源は、本当は柏崎刈羽原子力発電所の北方10キロ程度と言った方が分かりやすい。
マグニチュード6.8は、マグニチュード6.5のおおよそ3倍の大きさだ。柏崎原発から10キロ程度という距離は、はたして「敷地の近傍」に相当しないのだろうか。
防災科学技術研究所の強震ネットワーク「K-NET」によると、柏崎市では実に812ガルの加速度を記録している。柏崎市の震度は6強と伝えられているが、812ガルならギリギリで震度7と言えなくもない数字である。

中日新聞柏崎刈羽原発、地震後トラブル50件 消化配管も破損」から。

東京電力は十七日、新潟県中越沖地震に襲われた柏崎刈羽原発1−7号機で計五十件の損傷やトラブルを確認したと発表した。消火用配管が数カ所で破損して消火活動に影響した可能性があることが分かった。排気筒から放射能が放出されたほか、排気ダクトの変形も多数見つかったため他の放射能漏れがなかったか調べている。
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火災を起こした変圧器のほかにも1、2、3、6号機の計七台の変圧器で固定ボルトが折れて動いたり油漏れが起きたりしていたことも分かった。
原発敷地内にある低レベル放射性廃棄物の貯蔵庫では、廃棄物を詰めたドラム缶約百本が倒れているのが確認された。数本のふたが開き床から放射能汚染が見つかった。
東京電力では「設計基準の地震をどう設定するか、補強が必要か考えていく必要がある」としている。経済産業省原子力安全・保安院では「敷地周辺のモニタリングデータによると、全体として安全だと考えている」としている。

スポニチ「柏崎原発“あわやチェルノブイリ”」から。

地層学者で原発にも詳しい生越忠(おごせ・すなお)さんは「原子炉本体の耐震設計は厳しいが、変圧器などは震度5が耐えられる程度しかない。今回は小規模な火災で済んだが、風向きなどによっては他の建物に飛び火する可能性もあり危険だった」と指摘する。
原発での火災は海外メディアも、至急報で被害状況を詳細に伝えた。6月末に国内の原発変電施設で火災があったばかりのドイツでは、ニュース専門テレビが黒煙が上がる柏崎刈羽原発上空からの映像を繰り返し流した。英BBCは通常の番組を中断して地震発生を速報。また、中国の国営通信、新華社も「原発の変圧施設から出火」などと報じるなど、高い関心を示していた。

時事通信想定超える地震加速度=柏崎刈羽原発−東電」。

東京電力は16日、新潟県中越沖地震で緊急停止した柏崎刈羽原子力発電所新潟県柏崎市)で、耐震設計上の想定を大幅に超える地震の加速度を記録したと発表した。
東電は1、5、6号機の地下に設置された地震計の記録を解析。1号機で南北方向に311ガル(設計上の想定の最大値は274ガル)、東西方向に680ガル(同273ガル)を記録。5号機でも南北277ガル(同249ガル)、東西442ガル(同254ガル)、6号機で南北271ガル(同263ガル)、東西322ガル(同263ガル)をそれぞれ記録した。

長周新聞「原発7基の柏崎市も大被害 新潟県中越地震 報道管制でかくされた真実 2005年3月1日付

地震があいつぐなかで、原発の耐震設計についても見直しが要求されている。昨年11月2日に柏崎原発反対地元3団体は東電柏崎刈羽原発所長にたいし、「地震終息まで、原発停止」を求めて申し入れをおこなっている。そのなかで、柏崎刈羽原発の耐震設計について問題にしている。同原発の設置許可は1977年9月におりているが、当時は「気比ノ宮断層がM6・9の地震を起こす。そのさいに原発敷地は220ガルの加速度が生じるので300ガルで設計すればじゅうぶん」としている。