from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

イギリスの航空機爆破テロ未遂事件

JMM『「政治の弱体と紛争のメカニズム」from 911/USAレポート』から。

今回の逮捕劇については、その発表のタイミングや方法には、どうしても政治的な匂いを感じてしまいます。例えば、昨年のハリケーン「カトリーナ被災に当たっては、全米の非難を浴びたマイケル・シャートフ国土保安長官は、「今回の逮捕は実行まで数日に迫った瀬戸際」のものであり、攻撃の性格から見て「アルカイ
ダ」の関与が濃厚だ、と言って何度もTVに登場しています。まるで、この事件を機会にイメージ的な復権を狙っているようです。
また、休暇中のブッシュ大統領に至っては「イスラム原理主義ファシストの仕業」という、これまで使ったことのない文言を使って、計画犯を非難しています。ニュースの流され方にしても、10日の朝方には「液体爆弾」が計画されていたという発表だけだったのが、「液体の機内持ち込み禁止」という措置がかなり浸透した昼頃になって「ABCの報道によれば(CNN)」という「何らかのリーク」を匂わせるような形で「スポーツ飲料に入った液体を複数混合させる計画だった」という「具体的」な報道があり、漠然とした緊張感がリフレッシュされるような結果になっています。
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一言で言えば、政治が国民に強く信頼されているのではなく、国民に漠然とした政権への不信があり、何か失態を犯せばたちどころに危機に陥る、そんな「政治の弱体」が「テロ警報レッド」というような大きなリアクションを招いているのだと言えるでしょう。英国の場合も、アメリカの場合も政治が強力なのではなく、弱体であるからこそ、警戒体制がエスカレートすることになった、そのような見方が正当だと思います。