from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

国家依存

片岡義男著「影の外に出る ~日本、アメリカ、戦後の分岐点」から。

国家などについて語る必要はなく、語ることが悪であるように言われ、国家は経済の陰に隠れて見えない存在、ないも同然の存在となり、人々は国家のことをますます考えなくなった。国家が経済を強力に推進したからこそ経済大国にまでなれたのであり、その背景には主権国家のあらゆるシステムが強固に機能していた。その国家に人々は十重二十重に管理されると同時に守られもし、守られる度合いの強さに正しく比例して、国家に依存してもいた。
それでいて国家を悪の源泉としてとらえた。企業立国のあらゆる隙間から噴出してくる矛盾は悪いものばかりであり、それらはすべて国家のしわざとされ、国家の正体は悪として人々のなかに定着した。そしてその国家は、あらゆることになにかといえば規制をかけては、自分の経済活動の自由を奪う、と人々は考えた。人々と国家とのこのような二重の関係の、近年におけるあらわれかたの典型は、規制緩和構造改革、官業の民間への開放だろう。国家が従来どおりの内容で細々と規制するからシステムは時代遅れとなり、経済その他すべてうまくいかなくなるのだから、規制緩和構造改革、官業の民間への開放など、これまでとは違ったかたちで保護策を講じてくれればうまくいくはず、という考え方だ。国家からの開放を求めているのではなく、新たなかたちの介入による保護を、人々は願っている。小泉政権への支持率は、このような願いが人々のあいだにどれだけあるか、その比率だと理解すればいい。政権の能力と方針を正確に見きわめて国家の運営を託しているのではなく、なんとかしてもらいたいという依存的な期待ゆえの支持率だ。

不良債権処理のための公的資金注入、ゼロ金利政策、円高阻止のためのドル買い大規模介入は何を保護したんだろう。大銀行、大企業、輸出産業、米国経済を救ったのは確かだが。

FujiSankei Business i.BLOGから。

税収好転の要因は?

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財務省が4日発表した昨年度の国の税収実績(基礎収入)は45兆5886億円と4年ぶりに前年度実績(43兆2824億円)を上回りました。主要税目の所得税法人税、消費税が実に15年ぶりにそろって前年度を上回る好条件だったためです。
今回の税収好転からは税財政改革へのひとつの示唆がうかがえます。

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担当記者が回答します。
税収の好転は、ひとえに民間主導の景気回復によるものです。配偶者特別控除の縮小による実質増税効果が所得税で約5000億円あったものの、実際の税収額はこれを含む財務省の予想額(補正予算ベース)を1兆5476億円も超過。たとえ増税がなくても税収が大幅に伸びたことを示しました。

景気回復のために使った公的資金は、増税額以上なのではないのかな。