ロイター「G20が隠し切れなかった大きな溝」。
G20は、2010年末までに総額5兆ドルの財政刺激策を取ることで合意し、世界の金融・資本市場で急速に恐慌的な景気後退への懸念が弱まった。リスク回避の際に買われてきた円が、反対方向の動きに対応して売られ、全面安となった。
「5兆ドルの合意」を打ち出したG20に対し、ソロス氏はその対応を賞賛した。だが、エコノミストからはその具体性のない数字に実効性への懸念が表明されている。
しかし、今回のG20の問題点は、そこだけにとどまらない。巨額の財政刺激策をめぐる米英と独仏の見解の対立が、実は残されている。
G20終了後、メルケル独首相は、一段の景気刺激策の実施が義務付けられることがなかったことを歓迎する趣旨の発言をした。さらにサルコジ仏大統領は、世界経済が「アングロサクソン型経済」から変化しつつあるとまで述べた。
ある民間エコノミストは、独仏が大規模な財政刺激に神経質なのは、財政赤字が急膨張するだけでなく、世界同時の財政刺激は必ず新たなバブルの発生を呼んで問題の解決にならないとみているからだ、と指摘する。一方、米英は大規模な刺激策で、この未曾有の困難から脱出することを最優先にし、その先の課題はそのときに考えるべきとの発想が隠されていると話す。