from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

ワクチン課題は山積

JMM「上昌広:新型インフルエンザ対策を科学的に検証しよう」から。

4月28日に開催された第3回目の会議では、水際作戦がテーマとなりました。そして、新型インフルエンザ対策の最高責任者である上田博三健康局長が、自らの意見を述べました。
上田氏の説明はショッキングでした。例えば、「国内発生が出るまでは、検疫をやめるわけにはいかない」「欧米は、検疫をやりたくてもできないとのことだった」「日本はワクチン不足があったので、何とか検疫で頑張るしかない」「厚労省職員は防衛省じゃないんだから、危機管理は本務じゃない」という主旨の発言をしたのです。
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今年4月に開催された日本感染症学会で、国立感染研の島田智恵氏らは空港検疫の実態調査を発表しました。この研究によれば、昨年4月28日から5月21日までに21万6718人が機内検疫の対象となり、124人が潜伏期間中に空港検疫を素通りしています。
一方、空港検疫で新型インフルエンザが判明したのは4名で、検出率はわずか3%に過ぎませんでした。
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我が国では、新型インフルエンザワクチン接種者に有害事象が生じた場合、医療機関から厚労省に報告することになっています。2010年1月5日までに1600万人が接種したと推定されますが、うち107例が接種後早期に死亡しました。そして、多くの死亡者で、ワクチンと死亡の関係は評価不能と判断されました。
しかしながら、ワクチン接種後早期の死亡率は、同時期の米国の25倍です。米国では、2009年10〜11月に約4600万人に接種しましたが、早期死亡者は13人に過ぎません。
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千葉県の某病院からは、ワクチン接種を行った医療従事者の集団感染が報告されています。この病院では、医療スタッフ全員にワクチンを接種していましたが、29才以下のスタッフ21人中10人が新型インフルエンザに罹かり、30才以上のスタッフ29人のうち、罹患したのは1人でした。一方、患者229人中、新型インフルエンザに罹ったのは1人で、無事に回復しました。
この事実は、若年者には、新型インフルエンザワクチンの効果は十分ではなかった可能性を示唆しています。