from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

オバマの外交姿勢は?

JMM冷泉彰彦オバマの軍事外交姿勢」から。

非常に単純化すると、オバマの軍事外交姿勢というのは(1)一国主義的にひきこもりながらハイテク兵器で「遠隔操作」的に相手を圧倒する路線は取らない、という姿勢が基本としてあり、その具体化として(2)基本は国際協調、対話路線という行動パターンになってくる、それが(3)強烈なコスト削減指向と重なって、緊張緩和という原則を曲げない姿勢ということになってきています。
ですから、今回の北朝鮮の発射事件に関しても、衛星としては失敗、従って兵器販売のためのアピールにも失敗しており直接の脅威も、脅威の拡散する脅威としても深刻には受け止めないという「冷静な」対応になるのですが、問題はこの先です。北朝鮮問題という「永遠に先送りはできない」問題に対して、オバマ大統領はどんな手を打ってくるのでしょうか?
イラクとイラン、シリアに対して今回のトルコ・イラク訪問で複雑なメッセージを発信したように、オバマ大統領の外交政策は現実に根ざした精緻なものです。その精緻な現実主義に照らして考えると、オバマ政権北朝鮮の早期の政権崩壊は望んでいないと見るべきでしょう。何故ならば、北朝鮮の崩壊とはイコール、東アジアの新秩
序を意味するからです。仮に北朝鮮が崩壊して、その面倒を中国が見る中で中国軍と駐韓アメリカ軍が対峙する、あるいは統一後の韓国と日本との間がギクシャクするといったことになるぐらいであれば、アメリカは北朝鮮の現政権を温存し、崩壊を先送りにするということは十分にあると思います。

現代思想ノーム・チョムスキーオバマイスラエルパレスチナ問題」から。

オバマアラブ連盟の提案をいきなりねじ曲げただけではない。周到に組み込まれた詐欺を教唆したのだ。
アラブ連盟の和平提案はイスラエルとの関係の正常化をたしかに呼びかけはしているが、それは実のところ、ある具体的な文脈においてのことである。つまりその提案は、長年にわたって国際社会が合意してきた[パレスチナ国家独立による]二国家解決という文脈においてのことであり、それをこそアメリカとイスラエルは国際社会から孤立して三〇年以上も妨害しつづけてきたのであり、いまなお妨害しているわけだ。アラブ連盟の提案の核心は、オバマと彼の中東政策顧問もよく知っているはずだが、二国家に向けての平和的な政治解決を要求している点にある。そしてそれこそが、オバマが尽力すると公言している平和的解決のための唯一の基盤であるということは、周知のとおりだ。この決定的な事実をオバマが切り捨てたことは、けっして偶然ではありえない。むしろこのことは、アメリカを従来の拒絶主義から脱却させるという構想がオバマにはないということを明確に予兆している。アラブ連盟の提案について、アラブ諸国に対してはその提案の公理に基づいて行動せよと呼びかけながら、アメリカ自らはその中心的な部分の内実――それこそがその公理の前提条件だというのに――さえ無視するというのは、もはやシニシズムどころの話ではない。

現代思想ジョセフ・ナイオバマはソフト・パワーの回帰を仕切れるか」から。

R ソフト・パワーの使用について、オバマにどんな助言をされましたか?オバマはどの程度ソフト・パワーを理解していましたか?
N 彼は私なしでもソフト・パワーを充分理解していると思いますよ。彼の行動や、選挙戦を観れば、彼がソフト・パワーを充分に理解していることが分かります。ですから、彼にソフト・パワーの使用を示唆する必要などありませんでした。彼はやれる人です。