from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

「充たされざる者」を読み終えた

samso2008-11-11

朝ご飯を食べ、息子を起こしに行こうとすると妻が「まだ寝かせてあげて。夜中に痒いと言って起きていたからまだ眠いから」。息子が寝ている姿をちらっと見て、うちを出た。今朝も寒かった。風が体を冷やす。
最低気温9℃、最高気温12℃。
帰りも肌寒かった。今日は早めに着いて、自転車で迎えに行った。3分前に学童クラブに着いて部屋を見に行くと、「目をつぶって30秒経ったら手を挙げて」と言われ、帰り支度が終わった子どもたちは目をつぶった。誰も当たらなくて、一人の男の子が「1びょうちがった」と指導員の方に文句を言った。
寒風の中、先に外に出て待っていると息子が出てきて、「きょうはなに?」。夕飯のことかと思い、「何って?」と聞き返すと「なんできた?」。自転車と言わず、「バスで来た」と答えた。
デッキでなかなか靴を履かないので、先に降り、自転車を階段下に持ってきた。自転車を見ると、ランドセルと手提げ袋を前かごに投げ入れた。「走って帰るの?」「そう」。
うちに帰って、カレーを作り出した。材料を用意しながらカレールゥを探すが見つからない。昨日妻が買ってきたはずだったが。「肉じゃがでもいい?」「いいよ。ひさしぶりだなあ」。肉じゃがが出来上がった頃、妻が帰ってきた。「カレールゥを買うの忘れたよね」「買ってきたよ」「何処?」「調味料が入っている戸棚」。開けるとカレールゥがあった。
できた肉じゃがは息子には評判が良く、よく食べた。夕飯後、二人は散歩に出かけ、8時過ぎに帰ってきた。
テレビを点けると、TBSで「筑紫哲也さん追悼 ガンとの闘い500日・・ 筑紫さんが遺したもの」をやっていた。ゲストで出ていた姜尚中さんは「筑紫さんはアマチュアでしたね」と言っていたのが印象に残った。ジャーナリストというより知識人だったということ。後半は思い出話ばかり。筑紫さんの長男も出てきた。もっとジャーナリスティックな番組にすべきだった。

「充たされざる者」を読み終えた。うなされる悪夢のような世界が終わった。この旅行の主目的だったはずの演奏もできぬまま、疲れ果てたライダーは「なあ。いつも最悪に思えるのは、それが起きているときさ。だが過ぎ去ってみれば、何であれ思っていたほど悪くはないものだ。元気を出しなさい」と電車に乗り合わせた電気技師に言われる。
訳者の古賀林幸さんが後書きに書いておられるが、読んでみたカズオ・イシグロ三作に共通して出てくる主題は、「思いのずれ」。それと「人間の独善性と自己正当化」。まったく同じ感想を持った。
妻と息子が寝た後、ピンポン。インターフォンに出るとお隣のおばあちゃんだった。「○○君はもう寝た?」「はい」「ミカンもらったので」「ありがとうございます」。