from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

まったく庶民の気持ちが分かってない無駄な経済政策

北海道新聞追加経済対策 減税のあとに増税では」から。

世界的な金融危機の深刻さや国内景気の悪化を考えれば、緊急の対策は必要だ。だが、これでは総選挙目当ての「大盤振る舞い」と批判されても仕方ない。
政府・与党が決めた追加経済対策は事業規模が二十六兆九千億円、国の財政支出も五兆円に膨らんだ。
厳しい財政から、これだけ支出し、どれほどの景気浮揚効果があるのか。疑問符を付けざるを得ない。
最大の目玉である定額減税は給付金方式になった。所得税や住民税から差し引くのでは、手続きが煩雑で公約の年度内実施が難しいことから、現金やクーポンを配布する。
総額二兆円を限度として、四人家族の標準世帯で六万円程度を支給するという。
所得制限がないので、低所得層にも富裕層にも同じように支給される。麻生太郎首相は「ばらまきにはしない」と述べたが、まさに「ばらまき」以外の何ものでもあるまい。
思い出すのは一九九九年の地域振興券だ。このとき実際に消費に充てられたのは三割弱で、残りは貯蓄に回ったとの政府の分析がある。今回も一時的な効果はあっても、長続きは期待できそうもない。
住宅ローン減税の延長・拡充や高速道路料金の引き下げも、恩恵は一部にとどまり、効果は限定的だ。
地方対策としては、来年度からの道路特定財源一般財源化に際し、一兆円を地方に回す。
三位一体改革地方交付税を減らされた北海道などの地方自治体にとっては、歓迎すべきことだ。道路族議員や国土交通省は反発しているようだが、着実な実施が望まれる。
追加対策の財源は赤字国債に依存せず、特別会計の準備金など「霞が関埋蔵金」を活用する方針だ。
だが、本年度の税収は景気悪化で当初見積もりを大幅に下回る見通しで、結果として赤字国債の発行は避けられない情勢だ。将来世代につけを回すことになるなら、もっと分かりやすい説明が必要だ。
財源問題にからんで、首相は「経済情勢をみたうえで、三年後に消費税の引き上げをお願いしたい」と表明した。