from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

牛乳増産がメラミン汚染の背景にあった?

FujiSankei Business i「【前田徹の上海的故事】(23)メラミン混入粉ミルク」から。

河北省石家荘にある中国最大の粉ミルクメーカー、「三鹿」製造の粉ミルクを飲んだ乳児が腎臓結石を起こし、2人が死亡したと9月11日に突然、公表された。17日付の上海紙、東方早報などによると、その後の調べでメラミン混入ミルクは実は「三鹿」に限らず、大手国有系牛乳メーカー22社でも製造されており、被害は中国全土に広がっていた。
おそらくメラミン汚染は牛乳メーカーにとって必要悪に近いものだったのだろう。中国ではここ数年、食生活の西洋化などから乳製品の需要が急増している。だが、その原料である乳原料の生産が間に合わない状態が続き、また、世界的な飼料高騰もあってコスト下げを狙って乳原料に水を混ぜる慣習ができたという。
問題なのは、水っぽさを補うためにタンパク質の含有量を増やすメラミンが添加されるようになったことだ。最初は尿素水酸化ナトリウムを添加していたが、異臭がするためにメラミンに切り替えられた。
だが、そのメラミンはメラミン樹脂の主原料である工業用化合物で、人体に入ると腎臓結石を促す作用がある。昨年、米国とカナダに中国から輸出されたペットフードにもタンパク質増を目的に添加され、数百匹のペットが腎機能異変で死んでしまった。
それでもメラミン混入をやめられなかったのは牛乳増産の至上命令があったからではなかろうか。
温家宝首相は重慶にある乳原料生産地を訪ねたさい次のようなことを話し喝采(かっさい)を浴びたことがある。
「私には夢がある。中国のすべての子供たちが毎日500グラムの牛乳が飲めるときがやって来ることを」
かつて毛沢東は農工業大増産を目指す大躍進を号令したことがある。その無理な政策は大失敗し、2000万人の飢餓者を出したといわれている。もちろんそれと比較できないが、牛乳増産がメラミン汚染の背景にあったのは間違いないのではないか。