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子育ての日々の断片を書き綴る

チベット問題(4)

田原総一朗:チベット騒乱から北京五輪まで、日中ジャーナリストが徹底討論

日本に帰ってきて、日本のマスコミが随分偏向しているな、という気がした。
例えば、日本のマスコミはチベット騒乱の死者の数を140人などと報じているが、これはチベットの反政府運動側の発表している数だ。中国側は20人と言っている。どちらが正しいかはわからない。しかし、とにかく日本のマスコミは多い方を書いている。僕は、客観的に見て、北京オリンピックを控えている中国が、今チベット騒乱を起こすメリットは何もないと思う。そういう視点から考えると、より報道は慎重になるべきだ。
実はチベット騒乱は、3月10日に僧侶たちがデモを行ったことがきっかけだった。3月10日というのは、今から49年前の1959年3月10日に、中国が軍隊を派遣してチベットの管理を強化し、ダライ・ラマがインドに亡命するきっかけとなった「チベット動乱」が起きた日なのだ。
1959年以降、3月10日には色々とデモは起きていた。このような騒乱になったのは今回が初めてだが、今回の騒乱は、少なくとも中国が狙ったものではない。鎮圧に失敗したという可能性はある。その辺りはよくわからない。
しかしとにかく日本の報道を見ると、「中国側に問題有り」という意見が強い。中には「福田康夫首相はまさかオリンピックに行かないだろうな」、「今の福田さんのやり方は中国に対する追従だ」などと書く新聞や雑誌も出てきた。これは偏向報道だと僕は思う。
中国の解放は進んでいる。しかし、日本から見るとまだまだその速度が遅い。まだまだ管理主義が強いとも思う。一方、中国は日本人のほとんどに反中意識がみなぎっていると思っている。日本の一部過激な週刊誌が日本の世論だと思っている。