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子育ての日々の断片を書き綴る

下水システムの見直しが必要

Enviro-News from Junko Edahiro『レスター・ブラウン氏「水で流して、おわり」はもうやめよう』から。

現在の排泄物の処理方法は、「大量の水で洗い流し、可能ならば排水を下水処理場で処理して地域の川に流す」という考え方が主流だ。しかし、この「流して、おわり」というシステムは高コストで、大量に水を使い、養分の循環を妨げ、開発途上国では病気の主な原因となっている。
水不足が広がる中、今後水を使う下水システムの継続は難しくなるだろう。このシステムでは、土壌の養分は下水道に流され、通常は川や湖、海に排出されてしまう。このため、農地の養分が失われるだけでなく、流された養分によって富栄養化が進み、多くの川が「死」に追いやられ、200あまりの沿岸海域は、酸素濃度の極端に低い「デッドゾーン」になってしまった。排水を処理しないまま河川や小川に流す下水システムは、病気や死亡の主な原因ともなっている。
インドの科学・環境センターのスニータ・ナラインは、下水処理施設を使う水依存型の処理システムは、インドでは環境的にも経済的にも無理がある、と断言する。ナラインによると、インドの5人家族の場合、人の排泄物は年間250リットルで、それを水洗トイレで流すためには15万リットルの水が必要になる。
現在のインドの下水システムは、実際には「病原体拡散システム」になってしまっている。少量の汚染物質を取り込んでは、人が使えない水を大量に作る……その多くはそのまま近くの河川や小川に垂れ流される。「私たちの川も、子どもたちも死んでしまいます」とナラインは言う。
多くの開発途上国の例に漏れず、インド政府も、水を使う下水道や下水処理施設の全面的な普及をひたすら目指しているが、下水施設の整備が需要に全く追いつけないのが現状だ。しかし、インド政府はこの選択が経済的に実現不可能だとは認めようとしない。「流して、おわり」方式は機能しない、とナラインは結論づけている。
病原体の拡散は、公衆衛生上の深刻な問題だ。下水道設備が不十分で、人々の衛生状態も劣悪なために、世界で年間270万人の命が失われており、この数は、飢えと栄養失調で死亡する590万人に次いで多い。