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子育ての日々の断片を書き綴る

民営化すればうまくいく

nikkei BPnet「少子高齢化の行き着く先は“欧州式”年金制度が現実的」から。

自民党は今回の問題への対策として、社保庁解体と、非公務員型の日本年金機構の設立法案を提出しています。これについて、どう思われますか?
駒村 「民営化すればうまくいく」と言わんばかりの最近の議論は、本質を見誤っていると思います。民営化という選択肢を否定するつもりはありませんが、それはあくまで手段の一つであって、目的ではありません。手段と目的を混同してはいけません。
社保庁を民営化後に6分割するともいわれていますが、かなり工夫しないと危険ですね。むしろ横の連携がとれずに、今以上に非効率で無責任な結果になってしまう危険性があります。たとえば、年金の適用と徴収する組織が一つでないと、年金徴収の時点で年金制度を適用できる人が見つかっても、自分の業務ではないからと見過ごしてしまうとか、その逆に、適用の時点で徴収できる人が見つかっても放置してしまうような事態が想定されます。

社保庁改革における目的と手段の混同について、もう少しご説明いただけませんか?
駒村 社保庁、もしくはその後継組織は、次の5つの業務をしっかりやることです。まず、年金保険の適用者を正確に把握すること。その上で、年金保険料の徴収対象者の保険料をきちんと徴収すること。年金記録を正確に管理すること。年金記録の情報をきちんと国民に提供すること。正確な給付を行うことです。
それらをしっかりやるために、民営化という方法が適切かどうかを検討すべきであって、民営化をやれば自然とうまくいくということではありません。たとえば、国税庁は、別に民営化しなくても税金の徴収業務をきちんと行っているわけですからね。社保庁だけは民営化しないと、通常業務さえできないというのはおかしいでしょう。