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子育ての日々の断片を書き綴る

冤罪

NHKニュース「鹿児島県議選買収 全員に無罪」。

この事件は、4年前の平成15年の鹿児島県議会議員選挙をめぐって、当選した志布志市の元議員、中山信一被告(61)らが住民に現金191万円を渡して投票を依頼したなどとして、あわせて12人が公職選挙法の買収などの罪に問われたものです。裁判では、12人の被告全員が無罪を主張し、取り調べ段階で容疑を認めた6人の自白が信用できるかどうかが最大の争点になっていました。23日の判決で、鹿児島地方裁判所の谷敏行裁判長は「現金を配ったとされる2回の会合が開かれた日時に中山元議員は別の場所で懇親会などに出席し、会合に出席することは不可能だ」と指摘しました。そのうえで「長時間にわたる強圧的な取り調べに苦し紛れに供述したり、警察官の誘導をそのまま受け入れてうその話をしたりしたと考えられ、買収を認めた自白は信用できない」と述べ、12人全員に無罪を言い渡しました。

西日本新聞叫び4年 汚名晴らす 鹿児島選挙違反判決 主文聞き「よしっ」

拘置日数395日‐。中山被告は求刑(懲役1年10月)の6割という長期間、身柄を拘束された。「刑をからった(負った)のと変わらないですよ」。体重は8キロも減り、拘置中に糖尿病を発病してからは目のかすみにも苦しむ。手錠をはめる音、留置場の扉の閉まる音を繰り返し聞かされ「金属音には今でもおびえてしまう」。連日、「朝から晩まで『(買収の)相手は認めている。責任をとれ』とガンガンやられた」取り調べが、心と体をむしばんだ。
「取り調べは無罪の推定で行われると言いますよね。あれはウソです」。長く、地域ボランティアとして協力していた警察から受けた仕打ち。憤りは消えない。
「追及的、強圧的な取り調べがあったことをうかがわせる」。判決理由の中で、厳しく責め立てる強引な捜査「たたき割り」を断罪する裁判長の声が法廷に響くと、一度小さく息をはいた。「報道も最初のうちは一緒になって事件をでっち上げたんじゃないですか」。憤りは報道機関にも向く。
一度だけ、信念が揺らぎそうになったことがある。
「2回目の逮捕のときだった。私が認めんもんだから、刑事に『奥さんが認めている。あんたのようなうそつきとは離婚すると言っている。あんたが1回でも認めれば、奥さんはすぐに出せる(保釈できる)』と告げられました」。同じく逮捕された妻のシゲ子さん(58)とは、地元でも“おしどり夫婦”で知られていた。接見の弁護士に聞いた。「本当ですか」。「いや、奥さんは(否認で)頑張ってるよ」。「(夫が)認めるならば離婚すると伝えて」という妻の言葉が、ねじ曲げられていた。