from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

愛国法

JMM『「愛国者のゲーム」from 911/USAレポート』から。

先週の金曜日、16日の深夜になっての「採決入りの否決」というのは、その前の週から突如として大騒ぎになった、「大統領によるアメリカ市民への盗聴行為」への非難、という雰囲気の中で起きたのは間違いないと思ったからです。
この「愛国法」とは、そもそもはFISA(国外諜報活動法)といって、1978年に制定されたものがベースになっています。要するに、外敵の諜報を得るためのスパイ活動について、それまでは超法規的に行っていたのを合法化したものです。このFISAに加えて、USA法という国家に属さないテロリストを対象としたスパイ活動を合法化したものが「愛国法」の半分を構成しています。
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ホワイトハウスと議会共和党(の過半)は、延長法案を採決するよう、上院に強い圧力をかけ続けました。その結果、3ヶ月の暫定延長という案が出てきたのです。ところが、これにはブッシュは乗ってきませんでした。「3ヶ月延長という案だったら、大統領の拒否権(ビトー)を行使する」という脅しをかけると共に、ホワイトハウスとしては「恒久法案化」を提案してきたのです。
そこで、議会上院とホワイトハウスの間でネゴが行われました。今週水曜日(21日)には「6ヶ月延長」という案で、ブッシュも拒否権を行使しないことを言明、上院はこれを可決しました。ただ、翌日の22日になると、下院の司法委員会の委員長である共和党のジェームス・センゼンブレナー議員が「愛国法の超党派合意なき延長には反対」と言い出して、再び事態が流動化、最終的にはクリスマス休暇に入るギリギリの23日になって、1ヶ月延長という「先送り」の妥協が成立しました。
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それはともかく、現在の論点を簡単に整理すると、

  1. アメリカの安全保障上の理由から、他国の政府に関する情報を得るための盗聴行為は合法(FISA)
  2. 同じく、国外の国家でない個人、グループを対象とした盗聴行為も合法(USA法)
  3. テロ容疑者を中心としたアメリカ国内の盗聴、監視が可能(愛国法=このままだと年末で失効)
  4. アメリカ市民を対象とした令状なき盗聴(ブッシュ政権が否定していないため、民主党は猛反発)

という中の、3)が現在暫定的に1ヶ月延長となったものです。同時にこの12月に入ってから大きな論点になっているのは、問題の4)です。
さて、この4)ですが、ここ数週間、様々な暴露があって結果的に現時点では、ホワイトハウスは否定できなくなっています。これに対しては、12月19日にゴンザレス司法長官と、ホワイトハウスの情報担当次官であるマイケル・ハイデン将軍(元NSA局長)が記者会見をして弁明をしているのですが、その内容は支離滅裂でした。