from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

黄教授論文疑惑

JMM『「科学者の嘘」Younghee Ahn の韓国レポート』から。

昨日(05年12月15日)、一つのニュースが韓国全体を震撼させた。これまで絶対的信頼を置いていた一人の科学者に対する妄信が音をたてて崩れていくようだった。なぜこんなことになってしまったのか。
そのニュースとは、ソウル大学黄禹錫(ファン・ウソク)教授がヒトのクローン胚(はい)から世界で初めて胚性幹細胞(ES細胞)を作ることに成功したというその11個のES細胞のうち、9個は偽物で残り二つの真偽は現時点ではわからないというものだ。これは、論文の共同執筆者の盧聖一(ノ・ソンイル)ミズメディ病院理事長が入院中の黄教授を見舞った際、黄教授から聞いたことを国民に対して謝罪する形でマスコミに発表したものだった。
盧理事長によると「黄教授は『ES細胞は今は一つもない』と話した」という。「論文を撤回した方がいいのでは」と尋ねたら、教授は「そのようにしよう」と答えたという。ES細胞をめぐる疑惑が表面化していたため、教授は疲労で入院中だった。
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先月元共同研究者のジェラルド・シャッテン米ピッツバーグ大教授が「論文の正確性に疑義が生じた」として、共著の論文から名前を削除するよう申し入れた。さらに、先月MBC(韓国文化放送)テレビの「PD手帳」という番組において、彼の研究に対しての疑惑が放送された。
放送されたのはよいが、それから猛烈にその番組はバッシングされ始めた。なぜなら、韓国民のほとんどは黄教授への絶対的信奉者たちだったからである。彼はもしかするとノーベル科学賞を韓国に初めてもたらすかもしれないと思っていた。韓国人はノーベル賞を憧憬しとても信頼している。現在は、前金大中大統領がノーベル平和賞を取っただけである。

日本ではまだ疑惑とされているのに、15日にもう嘘だったと分かっていたのか。

中央日報「黄禹錫教授疑惑」でふくれあがる政府責任論

黄禹錫教授ES細胞論争の飛び火が政府にまで飛んだ。
黄教授チームは今年の1月、ES細胞汚染事実を政府側関係者に報告していたのだ。問題は科学技術部など公式系統ではなく、大統領の政策参謀である朴基栄(パク・キヨン)青瓦台(チョンワデ、大統領府)情報科学技術補佐官に報告されている点、朴補佐官がこれを科学技術部には報告しなかったという点だ。
また論文操作疑惑が起こった状況でも政府は「科学界の検証を待って措置する」などとし、知っていた事実さえ明らかにしてこなかった。
朴補佐官は17日、青瓦台副報道担当者名義の報道資料を通じ「1月、黄教授から幹細胞が汚染した事実を口頭で通報された」と明らかにした。黄教授も前日の記者会見で「汚染を政府に報告していた」と発表した。朴補佐官は報道資料で「黄教授側が(汚染の心配がない)代替の空間を見つけるのに協力した」とし「大統領には報告しなかった」と明らかにした。
また汚染事故が起こった当時や論文真偽波紋が広がった後、政府の次元で調査に出なかった点に対し「サイエンスの表紙に載せられた論文だ。サイエンスの自主検証能力を信じた」と弁明した。
黄教授の会見通りなら汚染事故が論文操作の決定的きっかけになったわけだが、汚染が分かっていた政府が事実を公開しなかったことはもちろん、調査もしなかったということになる。