from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

ITバブルから住宅担保ローンバブルへ

価値総研「アメリカ経済の拭えない不安

常識から云えば、アメリカ経済は深刻な不況に落ち込むはずだった。リーディング産業であるIT産業が崩壊し、在来型の製造業の拠点がアメリカから去り、コンピューター・ソフトの生産がインド・中国の企業にアウトソーシングされていた。設備投資は減り、雇用が大幅に縮小していた。
アメリカ経済が、深刻なITバブルの崩壊から立ち直れたのは、個人ローンが激増して、個人消費が増大したからだ。それは極端な低金利政策が実施されたからだ。政策金利フェデラルファンド誘導水準)は、00年には6,5%だったが、翌年から急激に引き下げられ、03年6月には1,0まで下がり、実質政策金利はマイナス1%を超えた。消費者は、住宅ローンを低金利ローンに借り換えることによって、減少した金利負担分を消費に使うことができた。
また、景気回復とともに、住宅の担保価格が上昇したので、住宅担保ローンの借り入れ枠が拡大した。住宅担保ローンの金利は、担保物件があるから、普通の消費者ローンより、相当低い。このローンが消費に向かった。個人ローンが累増の一途を辿り、ローン残高は、年間の個人所得に匹敵する大きさに急膨張した。
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アメリカ人は、ローンを増加させることによって、毎年、生産にした以上の物やサービスを消費して、豊かな生活を営むことに慣れ、また、政府は膨大な国債を発行して世界最強の軍隊を維持し、また福祉を充実させることに抵抗を感じなくなった。そうした結果、アメリカは、超輸入大国になり、世界の総輸入額の20%近くを占めている。その経済行動が世界各国の経済回復を助けたのである。日本を始めとするアジア諸国は対米輸出の増大が、景気回復のきっかけになった。