from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

東方書店の「北京だより」に「日本人の素朴なギモンと歴史の試験問題を解く」とタイトルで、

なぜ、いまこの時期に、マグマが噴火するかのような大規模デモが頻発したのか? しかも駐中国日本大使館や領事館への破壊的行為が起こったのは、1972年の日中国交正常化以来、初めてのこと。デモ発生の根本的な原因とは、なにか?
これについて、外国人の教え子も多く、今回のデモを一貫して注視してきたという、ある中国人大学教師(59)はこう語る。
「もちろん、デモは日本の"入常"(国連安保理常任理事国入り)反対と、『新しい歴史教科書』の検定合格、小泉首相靖国神社参拝への抗議からはじまりましたが、じつはもっと根本的な理由があります。誤解を恐れずにいえば、それは中国に国力がついたからであり、中国の国際的地位が向上したからだと、個人的には考えています」

とあって、反日感情は「日本が中国を侵略した当初からあった」が、「毛沢東周恩来は実務的な政策、つまり"中日友好"政策をとったので、人々はそれに従い、反日的な感情はこっそりと吐きだしていた」と。「めざましい経済発展をとげた」今、

「国力がつき、中国人の自信もついた。一部の人たちは、中国と日本は"平起平座"(対等の資格)になりつつあると思っています。そうしたときに、メンツを何よりも重んじる中国人が、かつて相手にメンツをつぶされたという不愉快な出来事を思い出したとしても、ふしぎではありません。今回のデモは、そういう中国人の強い"自信"の表れが、背後にあったのではないでしょうか?」

とあった。「とかく中国の人たちは、熱くなりやすい」。大声でケンカする姿は上海でも何回も見た。そういう性格があって、

原因は複合的なものだと思いますが、若者たちが日ごろの有りあまったエネルギーを爆発させたのが、あのデモだったのではないでしょうか? 

と。その若者たちがどのような教育を受けているのかということで、歴史の試験問題が紹介されている。

近年来"教科書事件"など、日本の右翼勢力が侵略戦争の犯罪行為をくつがえそうとしている。日本の小泉純一郎首相は、戦犯を祀った靖国神社を数回にわたって参拝し、中国人民やアジアの人民からの強い抗議を受けている。以下の問いに答えよ。
(1)(略)
(2)(旧)日本軍の中国侵略戦争の犯罪行為を例として、日本の右翼勢力および小泉首相の行為に対して反論せよ。
(『中考全解王』歴史、新疆青少年出版社、2004年5月初版)
正解となるポイントは、「抗日戦争中の南京大虐殺など(旧)日本軍中国侵略の犯罪行為を例として、日本軍国主義の侵略戦争の史実を否定し、かつ侵略の歴史を美化しようとする企てに反論すること」。
解説では、小泉首相靖国参拝や「新しい歴史教科書」に対して、こう述べている。
「歴史上の侵略行為を度外視するものだ。歴史を歪曲することは偶然ではなく、戦争当時のように、日本にはそうした(歴史を歪曲する)土壌がある。かつて日本に侵略されたことのある中国の青年は、覚醒して歴史を銘記し、政治に関心をもち、歴史を鑑としなければならない」

強烈な問題だ。こういう問題で鍛えられていれば、反日デモでの激しいスローガンも理解できる。