from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

日本は米国の「特上同盟国」

nikkeibp.jpの「反日デモ:北京の深層心理、中国が見る日本と日米同盟」に、

日本が昨年12月閣議決定によって承認した新たな「防衛計画の大綱」は、名指しこそ避けたが中国を脅威ととらえ、対米同盟強化の中で自衛隊の大編成替えを打ち出したものだった。
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北京の目に日本は、政治・軍事力をにわかに強化、米国と共同し中国牽制へ乗り出した国として映る。反日暴動を容認したのは、この際世界へ向けて日本の不徳を訴え、勢いをそぎたかったのだと思えば動機を解せる。事実タイミングは計ったかのようだった。日本の首相や外相が、国連安全保障理事会で常任理事国となるのを目指して外交攻勢をかけようとする、その矢先をとらえたものだったからである。
ところが日本では、中国が日本をそのように見ているかもしれないことについて認識、議論ともに乏しい。日本が軍事的に今何をし、これから何をしようとしているかに対するメディアの報道は低調で、国民の関心は低い。
事実はというと、日本は今や米国が「並の同盟国ではない、特上同盟国(メガアライ)であるとして頼ろうとする存在」(米軍事コンサルティング会社コーエングループのジェームズ・ボドナー氏)になっている。メガアライとされる国は世界中でほかに、英国と豪州を数えるのみ。近年の相次ぐ行動によって日本がこのような地位を得たことは、北京によく見え、日本人自身に案外見えていない疑いがある。

と。見えていないというか、海外から見ればどう見えるかと発想自体ない。その辺は、一般的な米国人と同じ。

安全保障基本文書の中で、脅威の源が冷戦下のようにロシア(旧ソ連)でなく、その少なくとも1つは中国であるとの認識を明示している。
かつ大綱の基となった「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・荒木浩東京電力顧問)の報告は、「島嶼防衛や周辺海空域における軍事力による侵害の排除」を、最重要項目に掲げていた。ミサイル、ゲリラ以上の扱いで、ここには中国に対する警戒感が一層あらわだったと言ってよい。

こういうことに気がついている日本人はほとんどいないんじゃないかなあ。これに呼応するような文章が、田中宇の国際ニュース解説「短かった日中対話の春」にあるね。

小泉首相の中国に対する挑発政策は、日本がアメリカと軍事的な一体感を強める動きと表裏一体となっており、日本の軍事外交戦略の一部である。子分たちに金を分配せねばならなかった以前の自民党の派閥の領袖たちとは異なり、小泉首相のような一匹狼型の政治家は、企業献金を重視する必要が少ないので、財界からの要請を気にせず、日本の国家戦略を貫く道を選ぶはずである。
そもそも、おそらく小泉首相にとっては、胡錦涛政権が崩壊した方が、好都合なはずである。中国が政治的に不安定になって台湾海峡の危機が高まり、アメリカの企業も中国で儲けることをあきらめ、アメリカで反中国と日本重視の傾向が強まるからである。

指導者というのは国民が脅威にさらされているときに最も必要とされるもの。だから、いつも危機だ危機だと国民に思わせておく必要があるということのようだ。
萬晩報の「シンクタンクとトインビーの『歴史の研究』」に、「トインビーの歴史の研究を読み特に感銘を受けた示唆」として、

現在を遠い過去の出来事のように考えてみることにより、歴史上にある過去の時代との同時性を冷静に展望できる。歴史を双眼的に見る。歴史は単なる事実の集積でなく、啓示なのである。
異なる文明に属する同胞を助け、互いに他の国民の歴史を理解することにより全人類の共通の成果と共通の財産を見いだし、敵意をいだくことを少なくすることができる。

とあった。やがて歴史上の人物となる指導者達は、自身の振るまいを客観的に眺めることなんてできないだろうなあ。ブッシュさんは歴史に残るであろう自分を意識している可能性(かつてのレーガンみたいになりた〜い)があるが、あれだもんなあ。