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子育ての日々の断片を書き綴る

新潟県中越地震と原発(2)

asahi.com天井クレーンが破損 原子炉点検、大幅に遅れ 6号機」。

東京電力柏崎刈羽原子力発電所は24日、新潟県中越沖地震被災した6号機原子炉建屋の天井クレーンが破損しているのを確認した。原子炉の真上にあり、炉の格納容器や圧力容器のふたをつり上げるための大型装置で、修復の見通しはたたないという。炉内部の容器の傷や装置の状態はふたを開けて目視で確認する必要があり、地震被害の点検が大幅に遅れることは確実だ。
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天井クレーンは核燃料を入れた輸送用容器をつり下げるため、国の耐震設計上はA〜CのうちのBクラスと位置付けられている。国の耐震指針でCクラスは一般建築物並みの耐震力で良いとされているが、落下すると燃料破損の恐れがあるクレーンは一般建築物の1.8倍の地震力に耐えることが求められている。
今回の地震で、原子炉建屋内の設備損傷が確認されたのは初めて。過去の地震によるBクラス重要機器の損傷としては、00年に福島第一原発6号機でタービン関連の配管が破損した例がある。

asahi.com東電、新耐震指針後に海底断層調べず 柏崎刈羽原発

東京電力柏崎刈羽原発新潟県)の耐震性再評価のために昨秋から今春にかけて実施した地質調査で、海底の断層については改めて調べておらず、結果的に新潟県中越沖地震を引き起こした断層を発見できずにいたことがわかった。昨秋の原発耐震指針の改定で、各電力会社は55基の既存原発すべてについて、新指針に基づく安全性評価を求められているが、「基礎となる調査がおざなりでは意味がない」との批判が出ている。
東電は同原発の耐震評価で、79、80、85年に海域調査をした。79年に原発から北西約19キロの沖合に長さ約7キロの海底断層を見つけたが、活断層ではないと判断し、設計時の耐震評価から外していた。

イザ!『直下に断層の柏崎刈羽原発 専門家「危険性過小評価」』。

京都大原子炉実験所の今中哲二助教原子力工学)は「今回の地震で、国の安全審査や(断層は地震の原因にならないとした)東京高裁の判断は、危険性を過小に評価していたことが証明された」と指摘。「耐震設計にできるだけ費用を掛けたくないのが電力会社側の論理。そこに危険性を過小に見積もる余地がある」と話す。
今中助教は「今回はヨウ素が大気中に放出されており、炉心内部にある燃料棒の破損が想定される。配管のひびや、制御系回りのトラブルが発見される恐れもある」と分析する。
一方、地震で受けるダメージが国内で最大規模になると想定される中部電力浜岡原発。中部電は国の新しい原発耐震指針に照らし、今年1月に国に報告した安全性評価で「問題となる活断層は発見されなかった」と結論付けた。

YOMIURI ONLINE柏崎市が刈羽原発に使用停止命令、消防法で…直下に断層も

防災科研などが行った地震波や余震分布の解析で、中越沖地震を起こした断層が、柏崎刈羽原子力発電所がある陸地の直下まで延びている可能性が高いことが分かった。
今回の震源は、同原発のほぼ北側約9キロ、深さ17キロの場所でマグニチュード(M)6・8だった。余震は震源から南西方向に分布している。こうしたデータをもとに、断層が動いた範囲を示す「断層面」を調べたところ、同原発真下の方向まで延びていた。
原発の立地は、地震を繰り返す「活断層」を避けるのが前提で、同原発の場合、仮に直下で地震が発生した場合も、M6・5に耐えるように設計されていた。

毎日新聞原発:周辺の活断層 電力会社、想定される地震を過小評価」(2006年8月20日)。

広島工業大の中田高教授(地形学)は「原子力の世界だけが他の分野と違う方法で活断層を評価している」と批判する。活断層による地形のずれには、直線的でないものもあるためだ。中田教授は「我々活断層研究者は多様な地形の変化を読み取っており、直線的なずれにこだわっていると過小評価になる」と話す。
国の指針見直しに合わせ、同協会も基準の見直し作業を進めているが、鈴木康弘・名古屋大教授(地形学)は「現段階では、活断層を読み取る肝心な部分に改善が見られない」と批判する。
活断層原発の耐震性にとって重要な要素であるにもかかわらず、国の指針の見直し審議には、一線の活断層研究者はほとんど加わっていない。協会の基準の検討会にいたっては、メンバーの大半が電力会社関係者だ。