from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

貿易の自由化

生活と自治7「日本の食は崩壊寸前!?」と「食料は一体誰のものなのか」から。

日本の食料自給率(カロリーベース)は先進国中で最も低い40%。これ以上自給率が落ちたら、日本は国を保てなくなるのではないかと危惧されている。
そして、これを杞憂と言えない事態が起きようとしている。農林水産省は輸入農産物の関税をすべて撤廃した場合の自給率をこう試算する。
現行の40%から12%に激減する―。
現在、日本はオーストリアとの経済連携協定日豪EPA)の締結に向けた交渉を4月から始めている。この協定により関税が撤廃されれば、日本からの自動車の輸出が促進され、オーストラリアからは石炭や鉄鉱石が確保しやすくなる。多くのマスコミはこの点を強調する。しかし、経済的なメリットの陰で、農業分野で日本に深刻な打撃を与える可能性があることは、あまり知らされていない。
特に国がいままで政策的に保護してきた重要品目のダメージは大きい。
砂糖の原料となるてん菜やさとうきび、でんぷん原料のばれいしょやさつまいもの栽培は壊滅。現在自給率が14%の小麦も0.1%台に、牛肉は43%から9%に落ち込む。
北海道の畑作は小麦、てん菜、がれいしょ、豆類と年ごとに栽培する作物を変えて輪作する。こうすることでん策による障害を防ぎ、継続可能な農業を確立している。どれかひとつ欠けても成り立たない。
酪農の現状も厳しい。牛乳の消費が低迷する中で廃業する農家がすでに現れている。その一方で、生き残りをかけた酪農家は生産量を増やす努力を重ねている。だが乳価葉は安いまま。億単位の設備投資を行っても、所得の工場にはつながらないという。
「ここでオーストラリアからの輸入品がなだれ込んできたら、とても立ち行かない」
7割近く自給できている牛乳・乳製品も、原料である生牛乳生産が実に88%も減ってしまうと農水省は試算する。
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各国がこぞって進める二国間協定は、相互国に経済発展を促すとさかんに喧伝されてきた。しかし、フィリピンのように悲惨な事態に追い込まれたケースもある。
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フィリピンは1990年代からASEANFTAなどに参加し、関税の引き下げや量的規制の撤廃など、新自由主義的な改革を進めてきた。ところが、その結果、コメの輸出国から輸入国へと転落したほか、野菜やトウモロコシなどが大量に輸入され、農産物の貿易収支は年間400万ドルの赤字となった。国内農業が破壊され、農民たちは食料を生産しているにもかかわらず、貧困や飢えに苦しむという異常事態に追い込まれている。貧困者は2007年で2600万人ののぼるが、その約7割は農村に住む人々という。