from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

リニア事故と汚職

nikkeibp.jp独リニア事故と上海市書記の解任の間にあるもの」。

悪いことは重なるものだ。上海の金看板のひとつであるリニアモーターカー、その惨事が、本家のドイツで発生した。上海でも8月、走行中の車両が突然火を噴くという事故が起きたばかり。乗客数の低迷は相変わらずで、鳴り物入りでスタートした上海リニアは前途多難の様相をますます濃くしてきた。
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もともとリニアモーターカーがまだ成熟度の低い技術であることは、中国国内も含めて関係者の間では常識だった。考えてみればドイツでも日本でも、長年研究を続けながらまだ本国では実用化していない。コスト的にもいわゆる「新幹線型」の高速鉄道に比べればかなり高いことも分かっていた。筆者が1990年代半ばに関係者にインタビューした時も、中国の鉄道専門家たちは決してリニア導入に積極的だったわけではなかった。
ではなぜ、中国はそんなものを慌てて高い代価を払って購入したのか。端的に言ってしまえば「為政者のメンツ」と言うしかない。上海リニアがテスト運行を開始したのは2003年1月1日。この時、上海は直前の2002年末に2010年の万博開催が決定、得意の絶頂にいた。
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奇しくも24日、上海市共産党委員会書記の陳良宇氏が汚職疑惑で解任されるというニュースが伝えられた。陳氏は、かつて上海のトップで、その後、中国の指導者として権勢を振るった江沢民・前国家主席の腹心とされる。解任の背景には、大都市への巨額の投資で急速な経済成長を遂げようとする「上海派」と、農村を重視し、安定的な成長を実現しようとする現体制との深刻な対立があると見られている。
この国は政治が決断すると、大抵のことはそのまま実現してしまう。これはスピーディーな意志決定ができる面もあるが、上海リニアの顛末を見ていると、独裁のシステムは長い目では結局高くつくという見本のような事態だと思う。